2017年7月29・30日 アメリカ ワシントンDC ISA 主催 ITCC2017

International Tree Climbing Championship with Arbor Fair & Expo 2017の報告です。
今回のITCC2017はアメリア合衆国のワシントンD.Cにある米国国立樹木園(US National Arboretum、http://www.usna.usda.gov/)内で開催されました。 米国国立樹木園はワシントンDCの北東部に位置しています。 広大な敷地内では季節ごとに様々な見どころがあります。
※日本版ビジターガイドをご参照ください。http://www.usna.usda.gov/USNA_Japanese.pdf

この広大な敷地内の一部で「ITCC2017・アーバーフェア&エキスポ」が同時に行われ選手や家族、応援団、関係者、一般来園者など、たくさんの方々でとても盛り上がったイベントになりました。我が日本からは富山県に拠点を置く高野大輔選手が家族と共に日本代表として大会に挑みました!!応援チームも数名参加しました。

7月27日 会場入りをした高野選手は他の選手と共に競技のウォークスルーを一人で行いました。 今回、「SECURED FOOTLOCK EVENT」から新しい競技として「ASCENT EVENT」が大会直前に変更となり、高野選手はフィールドとツリーを見て色々と綿密な作戦を考えていました。7月28日  いよいよマスターズへの予選がスタートです。 まずはギアインスペクションです。

国内で準備万端にギアの過不足なく整えて来た高野選手。 ギアの一つ一つをジャッジに説明して厳しいチェックを受けます。

準備万端と思っていましたが、思わぬハプニングが起きました! 普段使用しているモンキービーバー・アーボリストサドルがパスできず、セカンドサドルとして用意したダブルセーフサドルを申請して競技を行うことになりました。

ギアチェックが終わり競技への準備を始める頃から雲行きが怪しくなりました。 これから1種目を始めようとする頃には雨がポツリポツリと降って来て、次第に大降りになり待機する事となりました。テントで雨宿りをしながらランチをして待機中。 結局、この日は競技が行われず翌日に持ち越しです。

雨天前の会場内では沢山のブースが展示やイベントを行っていました。

チェンソーアートのブースでは、アメリカの象徴 白頭鷲の作品を発見!!

7月29日 雨は落ちて来ませんが、どんよりとした曇り空。雨天後で樹上も地上も濡れています。滑り易い状況なので選手の皆さんは慎重に慎重に競技をしていました。 ●「BELAYED SPEED CLIMB EVENT」 1種目 前選手達が滑ったり苦戦したりする中、高野選手はとてもスムーズに登り他の選手よりも良いタイムでベルを鳴らし、好スタートを切りました!

●「THROWLINE EVENT」 2種目  高得点のポイントはやはり難しい箇所に設定してあります。 時間との兼ね合いで確実にポイントを狙って行きます。

●「WORK CLIMB EVEVT」 3種目  濡れた幹や枝が少しずつ乾いてきましたが、油断は禁物です。 高野選手も他の選手と同様に安全で確実なビックスイングを繰り返し行い快調なパフォーマンスを見せてくれました!!

●「ASCENT EVENT」 4種目  今回、新しく導入された競技。 アセントシステムで上まで登りベルを鳴らしたら、降りるためのディセントシステムをセットして切り替えるまでの両方のシステムを行う競技です。 各選手、様々なアセント&ディセントシステムで挑戦していました。

高野選手!さあ、スタートです!

●「AERIAL RESCUE EVENT」 5種目  高野選手の最後の競技です。 負傷者は樹上でチェンソー事故を起こして意識がない状態です。 高野選手は冷静に状況を把握して救助に向かいましたが、残念な事に競技終了まで辿り着けませんでした。考えた作戦が複雑さを増してしまい、競技と言う難しさ・厳しさを実感した内容でした。それにしても負傷者がとてもリアルな人形です。

その他、アーバーフェア&エキスポはとてもたくさんの展示やイベント、たくさんの人々で盛り上がり日本のチャンピオンシップでもITCCを参考にして出来るようになれると良いと思いました。

<結果>  1種目のスピードクライムで好調なスタートを切った高野選手です。 その後のスローラインでも確実にポイントを獲得し、ワーククライムではとても良いパフォーマンスを見せてくれました。アセントイベントでは初の挑戦と少ない練習時間で不慣れな状態での挑戦でしたが、しっかりとベルを鳴らし最後の競技に希望を繋ぎました。 最後のエアリアルレスキューでは気負い過ぎてしまったか、焦りと緊張か、普段では絶対に行わない様な動きが途中で出てしまい負傷者を救助することが出来ませんでした。 良い点も反省点もたくさんの課題が見えたので今後の期待が高まります。

●「MASTERS’ CHALLENGE EVENT」  マスターズチャレンジは大きな樹木です。

出場選手は最高のパフォーマンスで競技を行いました。 各選手のパフォーマンスは、決して特別なものではなく基本的な事を確実に行う精度の高いスムーズな動き、危険な事を出来るだけ回避して安全性を優先した無駄の少ない安定した動き、不安要素が非常に少なく見ていて安心、と言うのが選手達への印象です。  応援ギャラリーも敵味方関係なく全選手を応援して会場全体でとても盛り上がりを見せていました。

このマスターチャレンジの期に見とれる…圧巻…

<まとめ>  ITCCのイベントでは、「Safety」、「Education」、「Network」、「Public exposure for Profession」、「Competition」の5つの目的が経験できる大切な場所だと実感しました。 限られた時間で少ない経験でしたが、今回のこの貴重な経験・情報などを活かして国内で行われるイベントにも反映できるようにして行きたいと思います。 

レポート ATIトレーナー 市川幸典